むせへの対応
2025年11月05日 11:51
【お食事の工夫】むせへの対応
むせるのは、からだの防御反応です。
むせるのが、どうして防御なの?

「むせる」のには、ちゃんと理由があります。
誤嚥(ごえん)とは、本来食道を通るはずの食べものや飲みものが、誤って気管に入り込んでしまうことです。むせるのはこのようなときに、からだが反応して起こるものです。気管にとって食べものや飲みものは異物なので、からだはそれを外へ出そうとして「むせ」という反応を起こします。
むせている間はとても苦しいですが、実はこの「むせる」という防御反応が出てこない方が、もっと危険なのです。
誤嚥はお食事中だけに限らない
「誤嚥」や「むせる」という言葉は、無意識のうちにお食事を連想させます。
お食事中にむせる方は多くいらっしゃいますが、誤嚥という視点からみると、それは一例にすぎません。
誤嚥は、次の3つのタイミングで発生します。
飲み込む前
ごっくんと飲み込むスイッチが入る前に、食道や気管に食べものなどが、ながれていってしまう。飲み込む瞬間
飲み込む際に、気管を閉じるタイミングがずれて、液体などが瞬間的に気管に入ってしまう。飲み込んだ後
お食事後、立ち上がったときに姿勢が変わり、のどに残った食べものなどが遅れてながれ込み、気管に入ってしまう。
お食事が終わってしばらく経ってからでも、のどに残った食べものなどを誤って飲み込んでしまう(誤嚥してしまう)ことがあります。
とくに介助する人がそばにいないときに誤嚥が起こると、とても危険です。
【不顕性誤嚥(ふけんせいごえん)】
ほかにも、寝ているときにだ液を誤って飲み込んでしまったり、飲み込む力が弱くなっているために「むせずに誤嚥してしまう」こともあります。
このような場合は、本人も誤嚥をしたことに気づかないことが多いです。こうした、気づかないうちに誤嚥してしまうことを「不顕性誤嚥(ふけんせいごえん)」といいます。
むせたら、どうしたらいいの?

お食事中にむせてしまったときは、まずお食事をいったん止めて前かがみの姿勢になっていただきます。
そして「せき」をしてもらいましょう。
これは、食べものなどが気管に入ってしまった場合、外に出すために大切なことです。
介助する人は、背中をやさしくさすりながら、本人が落ち着くように声をかけてあげてください。そばの人が落ち着いて対応すると、本人も安心します。
十分に落ち着いたら、一度大きく口を開けて、強く息を吐いてもらいます。
これで、のどに残っている食べものや痰を出しやすくなります。
強く背中をたたいたり、むせた直後に水を飲ませたりするのは、かえって誤嚥の危険を高めるのでやめましょう。気をつけて対応してください。
必要以上にこわがらないこと
一度むせてしまうと、とても苦しいため、「またむせたらどうしよう…」と怖くなってしまうことがあります。その結果、やわらかいものばかり食べてしまい、必要な栄養が十分にとれなくなることがあります。
しかし、むせることが怖くて食事の量が減ったり、栄養がかたよったりすると、だんだん体力も落ちて、もっと食べにくくなってしまいます。
むせてしまっても、できるだけふだん通りに食事をとれるように声をかけてあげましょう。
食べものの固さやかたちを変える前に「食形態を変える前に」のページも参考にしてみてください。
不安がある場合は、お医者さんや栄養士などの専門家に相談しましょう。